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中央臨床検査部

検査風景

ご挨拶

中央臨床検査部(検体検査科、生理機能検査科)では職員一同が、患者さま並びに院内のすべての職種に満足していただき、必要とされる臨床検査技師を目指し、知識や技能の向上に努め、信頼のおける精確な結果を提供するよう取り組んでいます。
臨床検査とは、患者さまの血液や尿をはじめ手術で取り出された臓器などを調べる検体検査と、心電図、超音波検査、呼吸機能検査など患者さまの体に直接触れて生体機能などを調べる生理検査の大きく二つに分かれます。私たちはこれらの検査を行い、病気の診断、治療効果判定、検診や健診に貢献しています。
また、上記の検査以外にも検体検査科では、フローサイトメーターという特殊な機器を用いて血液内科での白血病やリンパ腫の診断に迅速に対応しています。生理機能検査科では、検査だけでなく下肢静脈瘤レーザー治療、心臓カテーテル検査、肝臓がんの治療であるラジオ波焼灼療法の治療介助も行っています。
地域医療に貢献出来るよう、地域の先生方からの紹介検査も実施しております。詳しくは、地域医療連携、「紹介患者さまのご予約について」をご覧下さい。

中央臨床検査部の業務目標と行動事例

◎患者さまに安全、精確、迅速な結果報告を目指し、知識や技能、専門性を高める事を目標とする。また、患者様はもちろん、院内のすべての職種に満足され、かつ必要とされる臨床検査技師を目指す。

  1. 知識や技能を向上させ、専門性を高め、情報共有する事でレベルアップに取り組む。
  2. 日々、業務体制全般について見直しを行い、周囲と連携を取りながら効率よく業務が出来るよう創意工夫する。

検体検査科

検査風景

血液検査

【CBC】
CBCとは「Complete Blood Count」の頭文字を取ったもので、全血球計算を意味します。白血球、赤血球、血小板を自動血球計数器で計測・分類し、貧血や白血病などの血液の病気を調べています。

【血液像】
白血球分類は自動血球計数機で行っていますが、機械では捉えにくい細胞の確認・分類や、赤血球・血小板の形態確認を目視(顕微鏡)で行っています。

【凝固検査】
血栓が生じやすい、又は血が止まりにくい状態がないか調べます。手術前・出血時や抗凝固薬の服薬量の調節のために検査します。

【骨髄像検査】
血小板が少ない時や貧血が見られたとき、その原因を調べるために、骨の中にある骨髄液(血液の工場)の検査をします。この骨髄液から標本を作製して、減っている細胞や増えている細胞はないか、悪性細胞があるかないかなど顕微鏡を使って調べます。

【フローサイトメトリー】
人の目で細胞を検査する顕微鏡に対し、目では見ることができない細胞の特徴を調べることができます。主に、白血病や悪性リンパ腫などで検査をします。また、顕微鏡で、正常細胞との区別が難しいときにも役立ちます。

生化学免疫検査

生化学・免疫では、血液中の成分を機械で測定しています。患者様の結果は採血をしてから約1時間~1時間半で報告するように努めています。

【生化学検査】
血液中の成分を検査することで、栄養状態や肝機能、腎機能などに異常がないかを調べています。異常がある際は、下記のような成分が上昇または低下します。

※代表的な項目

病態 項目
栄養状態 TP(総蛋白) Alb(アルブミン
糖尿病 血糖値 HbA1c グリコアルブミン
脂質 T-CHO(総コレステロール) HDL LDL TG(中性脂肪
肝機能 AST ALT γ-GTP ChE
腎機能 BUN(尿素窒素) CRE(クレアチニン
心機能 CK CK-MB

【免疫検査】
腫瘍マーカー、ホルモンや感染症の検査をしています。

(腫瘍マーカー)
血液中のガン細胞が反応して上昇するマーカーを測定しています。

臓器 項目
大腸、胃 CEA
膵臓、胆管系、胃 CA19-9
肝臓 AFP PIVKA-II
前立腺 PSA

(ホルモン)
甲状腺機能ではFT3・FT4・TSH、心不全の評価にBNPを測定します。

(感染症検査)
B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス・HIV、SARS-COV-2抗原、インフルエンザ抗原などを測定しています。

輸血検査

【血液型検査】
ABO血液型、及びRhD(妊娠や輸血により抗体を産生させてしまう可能性が高い抗原)血液型を調べています。輸血予定患者様や手術予定のある患者様、また血液型を知りたい患者様等に行っています。

【不規則抗体検査】
安全に輸血療法や妊娠・出産を行って頂く為の検査です。不規則抗体を保有している患者様が輸血をする際には、体内で副反応を起こさない輸血用血液製剤を予め選択できるようになります。また妊娠を契機に不規則抗体を保有した場合、新生児溶血性疾患に対して、出産前から定期的にモニタリングを行うことが出来ます。

【交差適合試験】
輸血する前に、患者様の血液と輸血用血液製剤との適合性を確認する検査です。受血者(患者)血液と供血者(輸血用血液製剤)血液との間でABO血液型の適合確認及び不規則抗体による不適合がないかの確認を行っています。

【自己血採血補助】
予定されている手術や出産で、出血量が多いと予想される患者様に対して、あらかじめ血液を輸血用バッグに採取し手術・出産に備える為の補助作業及び採取血液の保管を行っています。

微生物検査

微生物とは細菌、真菌、ウイルスなどの事です。私たちは普段から多くの微生物に囲まれて生活していますが、これらの中には人に感染し病気の原因となる病原性微生物も存在します。
微生物検査室の主な目的は患者様から提出された様々な検体(血液、尿、喀痰、便など)を調べ病原性微生物の有無を検索し、検出された際には種類の特定や治療薬の効果判定を実施する事です。

【細菌塗抹検査】
感染症の原因となる起炎菌の推定や治療効果の判定などに有用で、簡易で迅速性に優れ感染症患者の初期治療に役立つ検査です。グラム染色、抗酸菌染色(蛍光染色、チール・ネルゼン染色)などがあります。

【細菌培養・同定検査】
培養検査は培地(細菌に必要な栄養素が含まれた寒天や液体など)を用い患者検体の細菌を発育させ、感染症の起炎菌を検出する目的で実施されます。
同定検査は培養検査で検出された起炎菌を様々な薬剤と反応させ、性状を調べる事により菌名を特定する検査です。

【細菌薬剤感受性検査】
起炎菌に対して効果のある抗菌薬(細菌感染症治療に用いられる薬)を調べるための検査です。この結果をもとに治療薬剤が選択されます。

【遺伝子検査】
(目的とする細菌やウイルスの遺伝子を増幅し検出する方法)
遺伝子検査の中でも様々な方法があり、当検査室ではPCR法、マルチプレックスPCR法、Lamp法を用いて、新型コロナウイルス、結核菌、クロストリジウム・ディフィシル、呼吸器感染主要起炎微生物、血液感染主要起炎微生物の検出を目的として検査しています。

【迅速抗原検査】
細菌やウイルスが保有する特異的な抗原を検出する事により、簡便かつ迅速に病原性微生物の存在を調べる事が出来ます。当検査室ではロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス、クロストリジウム・ディフィシル、細菌性髄膜炎主要起炎菌、肺炎球菌、レジオネラ菌などの検査で用いられています。

一般検査

一般検査では、尿検査・便検査・髄液検査・体腔液(胸水・腹水・関節液など)検査・精液検査を実施しています。

【尿検査】
代表的な無侵襲検査であり、病気を推測するための検査として広く利用されています。特に尿中有形成分は重要であり、尿中の成分を顕微鏡で鏡検することにより、腎臓の異常や癌などの病気を見つける補助診断に有用です。

【便検査】
便潜血検査と寄生虫の虫卵検査などがあります。便潜血検査では便の中の血液を調べることで、消化管に出血をきたす疾患(癌・ポリープ・潰瘍)の診断に有用です。

【髄液検査】
原因不明の発熱や髄膜炎を疑う際に実施します。髄液の中の白血球を測定することで、微生物の感染が疑われるか判断する際に有用です。

【体腔液検査】
体腔液の性状や細胞数などを測定することで、体腔液の貯留原因の究明や病態の推定をすることが出来ます。

【精液検査】
不妊症検査として精液の精子濃度・運動率・精子正常形態率を測定します。

病理検査

-病理部・病理診断科-
病理検査室では、採取した患者様の組織検体(生検・手術材料)から病理診断できるよう標本を作製し、病理医が顕微鏡で観察し診断を行います。
細胞診検体では、尿・体腔液・腟擦過物などの標本を、まず細胞検査士が顕微鏡で観察します。癌などが疑わしい細胞が見られた場合には、次に細胞診専門医が顕微鏡で観察し確定診断を行います。

★病院HPの病理部・病理診断科のリンク★

各検査室の写真

病理検査室

細菌検査室

一般検査

生化学検査

血液検査

輸血検査

生理機能検査科

生理機能検査科では常勤技師10名、非常勤技師1名の11名で業務を行っています。生理機能検査とは直接患者様の体に触れて行う検査の総称で当院では次に紹介する検査を行っています。当検査科では各検査業務の他にエコーカンファレンスを毎日行い、また学会参加や学会発表、論文投稿を積極的に行っており、日頃から幅広い知識の習得や技能の研鑽に励んでいます。

【心電図(安静時)】
健康診断ではおなじみの検査ですが、心臓から発生する電気を拾い上げて波形に現します。不整脈、心房・心室の肥大、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、電解質異常などの多くの病態の診断と治療に役立っています。

【運動負荷心電図】
狭心症などの虚血性心疾患や不整脈は、通常の心電図では異常を発見できない場合があります。そこで、患者様に運動をしていただくと、心臓に負荷を加えることによって心電図に変化が生じ、異常を発見できる確率が高くなります。当院では運動負荷の方法を、次の2種類で行っています。

(マスター2階段試験)
階段の昇降運動をして頂く、比較的方法が簡単な検査です。

(エルゴメーター運動負荷試験)
自転車のペダルをこぐ運動をしていただき、安静時からだんだんと運動量を増やして、心臓に負荷をかけます。患者様の状態に合わせて運動負荷をかけていく検査で、マスター2階段試験より運動量が増えるため、異常を発見しやすい精密な検査となっています。

【CPX検査】
エルゴメーターと同じく自転車のペダルをこぐ運動に加えて、患者様に呼気ガス分析装置を付けていただき、運動中の酸素や二酸化炭素の濃度を計測します。どれだけの運動に耐えられるか、すなわち筋、心臓、肺の総合的な運動耐容能を評価し、運動療法における運動強度の決定や運動制限をきたす疾患の重症度判定、治療効果判定に用いられます。

【ホルター心電図】
一日に数回しか出現しない不整脈などは、通常の心電図検査では記録できないことがあります。その場合に長時間(24時間)心電図を記録し、不整脈や狭心症発作時の心電図の変化を記録するために行われます。小型の心電図記録装置を24時間携帯していただきます。

【ABI・CAVI】
ABIは足首・上腕の血圧比を測定することで、動脈の狭窄や閉塞がわかります。CAVIは心臓から押し出された血液により生じた拍動が手足に届くまでの速度を測ることにより動脈硬化の程度を知ることができます。これらの組み合わせで、閉塞性動脈硬化症などの血管障害を検出します。

【呼吸機能検査】
肺活量の測定や肺の換気機能障害の有無・程度を調べます。また、手術時(全身麻酔時)の術前検査としても使用されます。

(VC・FVC)
*肺活量・努力性肺活量測定*
肺活量検査では、どれくらいの量の空気がどれくらいの速度で換気できるかを検査することにより、病気の部位や肺機能障害が推測できます。肺活量に比べ努力性肺活量は、最大に空気を吸った後、いっきに力いっぱいはき出していただきます。そうすることにより、末梢の気道閉塞障害が検出しやすくなります。

他の呼吸機能検査として、FRC(機能的残気量)・DLCO(肺拡散能力)・薬剤負荷改善率試験などの検査も行っています。

(FeNO、呼気NO検査)
息の中の一酸化窒素を調べる検査で、喘息の診断や喘息治療の目安に利用されています。検査は、数秒間、息を吹き込むだけです。

【脳波検査】
脳の活動状態を時間の経過を追って記録します。通常、安静・閉眼状態で記録を行います。小児(乳幼児)の場合は、安静状態を保つことが難しいため、睡眠剤を服用し、眠った状態で検査をします。特徴的な疾患には『てんかん』があり、睡眠中に異常波が出現しやすく、大人・小児問わず睡眠時の脳波記録が必要となります。

【誘発電位検査】

  • ABR(聴性脳幹反応)
    音刺激により、聴覚神経を興奮させて得られる波形を記録し、難聴や脳幹障害の診断に用いられます。
  • NCV(神経伝導速度)
    字のごとく運動神経の伝導するスピードを測定する検査で、末梢神経障害の程度や損傷部位を判断するための検査です。

【超音波検査】
超音波とは人が聞くことのできない音を指しますが、この超音波が生体内に伝わり、生体内の組織などによって反射されたその強さと時間で距離などを計測し、それらの組み合わせで、画像として映し出されます。そのため、X線と違って被曝がなく生体に無害とされ、簡便に行えることから、治療の効果確認や経過観察のために繰り返し検査することが可能です。

  • 腹部超音波検査
    おもに肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓・脾臓を検査します。各臓器の形態的な変化や病変の有無を観察します。これらの臓器は胃や十二指腸に近いため、消化管ガスの影響を受けやすくなります。超音波は、空気に弱く、ガスが存在すると画像が見えにくくなってしまいます。そこで、ガスの影響を受けにくくするためと、食後に胆汁が排泄されて胆嚢が収縮してしまわないように、患者様には絶食をお願いしています。また、同時に、下腹部(子宮・膀胱等)の検査も行っており、膀胱を見やすくするために検査2時間位前から排尿を控えていただくようお願いしています。
  • 肝硬度測定・脂肪肝定量
    腹部超音波検査では肝臓の硬さがどの程度であるかを数値として表すことのできる肝硬度測定ができます。ウイルス性肝障害やお酒の飲み過ぎによるアルコール性肝障害、肥満や生活習慣病が原因の非アルコール性肝障害など慢性肝障害が疑われる場合に、肝臓の硬さを測定することで肝硬変へ進展していないかを客観的に評価することができます。また最近導入した超音波診断装置では、肝臓の硬さと同時に脂肪沈着の程度を数値化することができます。脂肪肝の状態を把握することで生活習慣病の改善に役立てることが可能です。
    (写真6)肝硬度測定・脂肪肝定量の測定できる超音波診断装置
  • 心臓超音波検査
    心臓の大きさ・動き・弁の開閉・心臓内の血流の速度や逆流の有無などを観察します。心臓の壁の動きが低下する心筋梗塞や高血圧などでおこる心肥大、弁の閉鎖不全や狭窄による弁膜症などがわかります。心機能が低下した心不全の治療効果の判定や弁膜症の手術時期の決定などに役立てられています。様々な計測などを行うため、腹部超音波検査に比べ、多少時間がかかる検査です。
  • 血管超音波検査
    近年、生活習慣病の増加に伴い血管疾患も増加しており、頚動脈や上下肢の動脈・静脈など全身の血管を検査することが重要となっています。頚動脈エコーは血管壁の状態を観察することで、簡便に全身の動脈硬化の状態を知ることができます。下肢動脈エコーは血管の狭窄や閉塞(閉塞性動脈硬化症)等がないかを調べます。下肢静脈エコーは血管の拡張や血液の逆流、血栓がないか観察し、静脈瘤の原因や深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)などを調べます。また血液透析を行うのに必要なシャント血管に狭窄などないかを調べるVAエコー検査も行っています。
  • 甲状腺超音波検査
    甲状腺超音波検査は甲状腺の大きさや甲状腺の内部の性状、腫瘍の有無を観察します。甲状腺はホルモンの分泌を行っている小さな臓器で、バランスが崩れると全身に症状が出現すると同時に甲状腺の腫大や萎縮が見られます。甲状腺の大きさを調べることによりバセドウ病や橋本病等の甲状腺疾患の診断に役立てる事ができます。また甲状腺内に腫瘍を認める場合は、腫瘍の大きさや腫瘍内部の観察を行い、良性か悪性かの鑑別を行います。
  • 乳腺超音波検査
    超音波の画像は非常に精細で分解能が高く乳腺組織や乳管の描出に大変優れています。手に触れることのできない小さいしこりを発見することができ、発見したしこりが乳腺や乳管から発生したがんによるものか、あるいは良性腫瘍や嚢胞(水が袋状に溜まったもの)などによるものかを判別するのに有用です。また、マンモグラフィ検査では不得意とされる若年の乳房検査に有効とされています。
    当院では乳房超音波検査を女性検査技師のみで行っています。

★これらの検査業務に加えて、心臓カテーテル検査におけるポリグラフ、IVUS(冠動脈内超音波装置)の操作、下肢静脈瘤レーザー治療の超音波ガイド、肝腫瘍ラジオ波焼灼療法の機器操作など治療への参画も行っています。

認定技師・資格  2024年1月現在

認定機関 取得資格 人数
日本臨床検査同学院 緊急検査士
二級臨床検査士(微生物)
二級臨床検査士(病理)
4
3
1
日本検査血液学会 認定血液検査技師 1
日本サイトメトリー学会 日本サイトメトリー技術者 2
日本輸血細胞学会 認定輸血検査技師 1
日本超音波医学会 超音波検査士(消化器)
超音波検査士(体表臓器)
超音波検査士(循環器)
4
2
2
日本心臓リハビリテーション学会 心臓リハビリテーション指導士 1
日本臨床細胞学会 細胞検査士 1
その他 血管診療技師(CVT)
日本不整脈心電学会 心電図検定1級
有機溶剤作業主任者
特定化学物質作業主任者
1
1
2
1