大阪府がん診療拠点病院
臨床研修指定病院
紹介受診重点医療機関
IVRセンター
当院は、IVR専門医修練認定施設に指定されており、主にIVR専門医やその疾患を専門にした熟練した医師が治療を行っています。IVR-CTの導入により、これまで以上に質の高い医療を患者さまに提供することができるようになりました。
また、重要な看護の面においても、日本IVR学会認定IVR看護師(2名)の指導のもと適切な看護を行っており、患者さまに安心していただける医療を提供しています。
IVR(アイブイアール)はインターベンショナル・ラジオロジー(Interventional Radiology)という英語の略です。日本語訳としては一般的に「放射線診断技術の治療的応用」という言葉が用いられますが、非常にわかりづらいので『IVR』 という言葉がそのまま用いられます。
IVRとは『レントゲン(エックス線透視)』などの画像をみながら病気の状態を細部まで正確に診断したうえで、カテーテルという細い管や針を操作して病気を治す体にやさしい治療法』のことです。一般的にお腹を切って開けたりするような手術を必要としないので、体への負担が少なく高齢者でも安心してうけることができる治療法とされています。
また、入院期間についても短縮することができます。具体的には肝がんに対する肝動脈塞栓療法(TAE・TACE)、出血に対する緊急止血術、内臓動脈瘤塞栓術、バルーン閉塞下胃静脈瘤塞栓術(B-RTO)、下肢動脈の血管拡張術、透析シャントの拡張術、CTガイド下生検、CTガイド下ドレナージ術などをIVRとして行っています。
肝がんの肝動脈塞栓療法とは、簡単に言うと肝がんに栄養を供給している血管(肝動脈)を塞栓することで、肝がんを兵糧攻めにする治療法です。
肝がんは兵糧攻めにあうと、栄養がなくなるので死んでしまいます。ここで、『肝臓に栄養を供給している肝動脈を塞栓することで、肝臓も兵糧攻めになるけど大丈夫なの?』という疑問が生じると思います。
これには秘密があります。肝がんは肝動脈から100%栄養を供給されているのですが、肝臓は肝動脈から25%、門脈から75%栄養を供給されています。このため、肝動脈を塞栓しても、肝臓は門脈からの栄養で生き残ることが十分に可能です。しかし、少しは肝臓も塞栓の影響を受けますので、可能な限り肝がんの部分のみを治療するようにしています。
このためには肝がんの個数や進行の程度について、術中に行うCTでの正確な診断が必要とされます。これまではその都度CT室に移動して行っていましたが、IVRセンターのIVR-CTでは部屋を移動することなく、スムーズに精密な検査を行い、治療に専念することができます。
実際の治療は、足の付け根に局所麻酔をして、血管(大腿動脈)に「カテーテル」と呼ばれる細い管を挿入し、肝臓の動脈までカテーテルを進めていきます。さらに、肝がんのできるだけ近くまで進めて、そこから抗がん剤を注入した後、血管を塞栓します。
患者さまの傷は非常に小さく体の負担も少ないので早期の退院が可能であり、ご高齢の方でも安心して受けることができる治療です。また、再発した場合でも繰り返し行うことができるという点もこの治療法の特徴のひとつです。
このように肝がんの肝動脈塞栓療法(TAE・TACE)は体への負担が少ないやさしい治療法ですので、全身状態の悪い患者さまや高齢の患者さまにおいても安全に治療を行えます。
下肢静脈瘤とは静脈弁不全により血液が足に逆流し、静脈がコブのように拡張する病気です。足がつる、むくみ、疲れやすい等の症状が起こり、さらに悪化すると足が痛くなったり、黒くなったりします。
治療は、約1mmの針穴にレーザーファイバーを挿入し、逆流している静脈を焼灼させて血流を正常化させます。当院のIVRセンターでは下肢静脈瘤治療用の血管内レーザー装置として保険認可を受けたLeonardo Bonsal1470を導入し、レーザー治療を行っています。レーザー治療は傷が小さくほとんど目立ちません。また体への負担が少なく一泊二日の入院で治療が可能です。
詳しくは外科外来までお尋ねください。
2022年 | 2023年 | |
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肝腫瘍のTAE・TAI | 35例 | 26例 |
下肢静脈瘤のレーザー治療 | 38例 | 48例 |
シャントPTA | 17例 | 23例 |
CTガイド下生検・ドレナージ | 5例 | 4例 |
内臓動脈瘤 | 6例 | 1例 |
緊急止血術 | 13例 | 17例 |
B-RTO | 2例 | 2例 |
動注リザーバー留置 | 0例 | 0例 |
その他 | 95例 | 60例 |
合計 | 211例 | 181例 |
受診について