大阪府がん診療拠点病院
臨床研修指定病院
紹介受診重点医療機関
インフルエンザは冬季に流行する呼吸器感染症です。典型的な症状として高熱、倦怠感、悪寒、筋肉痛に始まり、呼吸器症状があります。嘔吐や下痢といった腹部症状を呈することもあります。 原因はインフルエンザウイルスでありA型からD型までありますが、診断や治療ができるのはA型とB型です。潜伏期間は一般的に24~36時間とされています。
小児では熱性けいれん、クループ、中耳炎といった合併症がよくあり、まれに肺炎や脳症を呈することもあります。また就学以降の児では異常行動の報告があり、注意が必要です。
代表的な検査は迅速抗原検査といって、鼻咽頭(鼻の奥)を綿棒で拭って検査します。ウイルスが増殖してから調べることができるので、12~24時間後の迅速抗原検査が勧められています。
代表的な検査は迅速抗原検査といって、鼻咽頭(鼻の奥)を綿棒で拭って検査します。ウイルスが増殖してから調べることができるので、12~24時間後の迅速抗原検査が勧められています。
抗ウイルス薬による治療と対症療法があります。
抗ウイルス薬による治療は発熱期間の短縮や合併症予防が報告されており、発症48時間以内の使用が推奨されています。内服、吸入、点滴の種類があり、年齢・症状・重症度を考慮し選択します。
対症療法としては症状に応じて熱を下げる解熱剤を使用したり、鼻水を出しやすくするお薬、咳を軽くするお薬を使用します。なお解熱剤は脳症の発症や増悪因子となる非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェンやイブプロフェンなど)を避けてアセトアミノフェンを使用します。
インフルエンザは学校保健安全法で出席停止が定められています。発症した後5日を経過し(※発症した日は0日目)、解熱後就学以降は2日、未就学児は3日(解熱した日を0日目)を経過するまでとされています。
予防の一つとしてワクチン接種があります。インフルエンザの流行前に接種します。年齢により接種量や接種回数が異なります。発症予防、また発症しても重症化予防、罹病期間の短縮が報告されています。
水分を取らせる、食べやすいものを食べさせる、過ごしやすい室温、湿度にするという一般的な風邪と同じ対応で大丈夫です。抗インフルエンザ薬は一度飲ませ始めたら飲み切りましょう。また年長の児では異常行動の報告があるので注意しましょう。 家族内の予防にはアルコール消毒、マスク、手洗いが有効です。
小児科医 植山 浩一