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看護研究発表の記録(2018年度)

院内発表会

2018年度 第41回 院内看護研究発表会

平成30年12月5日(土)PL病院講堂にて院内看護研究発表会を開催しました。通常業務と並行しながら各部署より自主的に研究に取り組み、看護の質向上を目指し、日々研鑽した集大成を発表しました。

院内看護研究発表大会
地域包括ケア病棟においてデイルームでの食事摂取が及ぼす社会復帰への患者の意識付けの検証
4階西病棟
患者同士の交流や談笑をしながらの食事摂取が、患者にとって社会復帰へのリハビリテーションという意識付けになっているのか、入院している患者44人にアンケート調査を実施しました。その結果、デイルームで食事を摂取し交流をすることは、リハビリへの意欲も高まるという傾向が今回の研究で明らかになりました。今後も患者のリハビリ意欲を高めるためにも、患者同士の交流をとれる環境調整や介入を継続していきたいと思います。
初回熱性けいれんで入院した患児の親の不安についての語り
5階東病棟
初回熱性けいれんで入院した患児の母へ、「@入院時どのような不安を抱いているのか」 「A看護師の対応によって不安の軽減ができたのか」についてインタビュー調査を実施しました。モニターが付いていることで母の安心感は得られたが,説明不足から体動によるアラームが母の不安を助長させていたことがわかりました。また、児の状態が安定した時期に母に指導を行なうことで,けいれん時の状況を母と共に振り返ることができ不安の軽減につながりました。
ロールプレイを用いたスタッフへの教育方法を考える

   ―ベビーベッドからの転落予防について―

5階東病棟
ベビーベッドからの転落事故は毎年発生しており、今までいろいろ対策をしてきたがゼロにはならなかったため本研究に取り組みました。病棟で発生したベビーベットからの転落事故について分析し、先行研究との裏付けを行いました。その結果、転落事故と付き添い者の疲労に関連性があることがわかりました。ロールプレイを用いることによって、スタッフが付き添い者の疲労について目を向けるようになり、転落予防に対する意識が高まりました。
緊急手術にて人工肛門を造設し、装具が安定せず術後ストレスを助長した事例に対するケアの検討

             〜アグィレラの危機問題解決モデルを用いて〜

5階西病棟
緊急手術で人工肛門を造設し、装具が安定せず術後ストレスを助長した事例に対するケアの検討をアグィレラの危機問題解決モデルを用いて行いました。理論を活用することで患者の思考やストレスの原因を推測・再認識することができました。ストーマトラブルがストレスの原因と考えていましたが、自律心が強いがためにストレスを助長させてしまっていたことがわかりました。そのことから、具体的に必要であったケアを検討しました。
心不全末期患者に関わる、循環器内科医師の緩和ケアへの意識調査
6階東病棟
現在心不全末期患者への緩和ケアも必要とされています。循環器内科医師が終末期患者への緩和ケアについてどのような想いで治療の継続が行われているのかと疑問を持ち「心不全末期患者に対する緩和ケアへの移行が良いと思っているのにできていないと思うこと」についてインタビューを行いました。その内容から7つの要因に分類されました。医師は緩和ケアへの必要性は理解していますが、最期まで諦めずに治療を継続する想いが強くありました。今回の研究を通して、他職種と連携し介入することが大切であるとわかりました。
意思疎通困難な高齢患者の安全ベルト装着における看護師の判断過程を探る
6階東病棟
意思疎通困難な高齢患者の安全を考え、車椅子使用時に安全ベルトを装着する事があります。看護師がどのような判断で使用しているか疑問を持ち、当院看護師300名にアンケート調査を実施しました。結果,安全面,治療面,認知力などの7つの要因に分類しました。早期身体拘束解除のため,看護師は患者の安全確保と精神的苦痛との間で苦悩し,やむなく安全ベルトでの身体拘束を行っている事が明らかになりました。
悪性リンパ腫患者のオンコビン・フィルデシン投与中における末梢神経障害に対する冷罨法の効果
5階東病棟
悪性リンパ腫患者の治療で使用するオンコビン・フィルデシンの副作用に痺れがあり、痺れにより日常生活動作に支障をきたしている事例が多くみられていました。パクリタキセル製剤の先行研究を元に、オンコビン・フィルデシン投与中に四肢の冷罨法を行うことが痺れの予防につながると仮説を立て研究しました。その結果、痺れの出現・悪化を予防することができたとの結果が得られました。
Team STEPPS導入に向けての取り組み

消化器内科看護師のコミュニケーション・リーダーシップに関する調査

7階東病棟
1〜4年目のスタッフが病棟の半数を占めており、インシデントを分析すると知識不足によるアセスメント能力の低下・コミュニケーション不足による確認不足および指示の伝達不足でした。Team STEPPSの導入に向けての取り組みとして尺度を作成し、アンケート調査を行いました。病棟看護師全体に自己主張が低いことが分かりアサーティブな主張をすることが望ましいことがわかりました。
人工膝関節全置換術を受けた患者の歩行獲得に向けての要因

〜クリティカルパス通りに進行した患者と逸脱した患者の比較から〜

7階西病棟
人工膝関節全置換術を受けた患者2名の歩行獲得までの状況を比較しました。結果、手術を受ける動機や受け入れ、疼痛など様々関係しており、フィンクの危機モデルに合わせて考察しました。結論として@適応の段階にある患者は痛みを乗り越え積極的に歩行獲得できるA衝撃・防御的退行の段階にある患者は苦痛という危機から自分を守り歩行獲得を困難にさせる。B危機のプロセスの段階に応じた看護介入が歩行獲得に向けて有効である。以上のことがわかりました。

 

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