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看護研究発表の記録(2015年度)

院内発表会

2015年度 第38回 院内看護研究発表会

平成27年12月12日(土)PL病院講堂にて院内看護研究発表会を開催しました。通常業務と並行しながら各部署より自主的に研究に取り組み、看護の質向上を目指し、日々研鑽した集大成を発表しました。看護研究学習コース受講者による活発な質疑応答や専門看護師による講評もあり、熱気あふれる発表会となりました。

院内看護研究発表大会
流産を経験した患者の悲嘆感情に寄り添った精神的ケアを考える

  〜患者への効果的なグリーフケアを行うために〜

4階東病棟
妊娠初期の流産を経験された患者に対して面談形式でインタビューし、内容から関連した言葉をサブカテゴリーに分類しました。効果的なグリーフケアとして不安と悲しみへの十分な共感、関わるタイミングの考慮、退院後にも時間をかけてケアを行うことの重要性が示唆されました。患者の話を傾聴すると共に、専門的知識・情報の提供をしていくことが求められていることを実感し、今後、患者の悲嘆感情に寄り添った看護を実践していきたいと思いました。
キーパーソンであった夫の死を受け入れられず危機的状況に陥った家族への関わりを考える

  〜フィンクの危機理論(悲嘆過程のプロセス)を用いて〜

6階東病棟
家族の一員である患者の死への看護において、家族の果たす役割は大きく、それだけに家族への援助も非常に重要である。そこで末期ガンのため予後が短いと告知を受け、キーパーソンを亡くした妻の事例をもとにフィンクの危機理論に沿って末期ガン患者の家族の心理段階と看護師の関わり方を振り返りたいと考えました。その結果から、患者や家族の心理過程は、患者の病態の変化や時間の流れと共に変化し、揺らぐということが分かりました。今後、その揺らぎを理解した上で安心感を提供できる関わりを心がけて実践していきたいと思います。
転倒リスクの高い高齢者における自己移動防止ポスターの有用性の検討
7階西病棟
高齢患者の多くは術後、日常生活動作が低下し介助が必要な状況にあるにもかかわらず、看護師への遠慮や判断力の低下、認知機能の低下により自己にて動けると判断し転倒する場面があります。自己移乗防止ポスターを使用して、視覚による指示から認知障害のある患者自身が、移乗前にナースコールを押すことができた事例から、その有用性を検証しました。ポスターを使用した群、使用しなかった群を比較し、ポスターを使用した群のナースコールを押すことができた患者は優位に多い結果でした。視覚からの情報が効果的であることが示されましたが、個別性や自尊心を尊重した対応、認知機能低下の程度に合わせた対応が必要であると思います。
看護師と患者との看護サービスに対する満足度の比較
看護部 看護業務調査委員会
看護業務調査委員会では、毎年患者と看護師に看護サービスに対する満足度調査を行っています。今回、看護師の態度・対応にポイントをおいた独自の調査票を作成し、その調査票を用いて、患者および看護師に同一の調査を行いました。患者が満足する看護サービスの提供ができている結果ではあるが、「気配りの対応」は患者・看護師ともに平均値が低く、今後よりわかりやすい説明や確認が必要であることがわかりました。今後も看護の質の向上に努めていきます。
人工呼吸器装着患者の酸素化改善に有効とされる腹臥位

  〜シムス位の体圧分布値を明らかにする〜

ICU
健常者を対象にした先行研究を参考に、経口挿管された人工呼吸器装着患者へ腹臥位・シムス位を実施し、体圧値を測定し、体圧の分布状況を調べました。結果、肩峰突起、腸骨稜、膝蓋骨は特に体圧値が高く、血流が阻害されやすいことから苦痛の要因であることが分かりました。また、体圧平均値が一番高かった肩関節の部分圧を低減させるには枕の高さも重要であると言われているため、個々に合わせた高さの調整が必要とであることが示唆されました。
起立性低血圧のある透析への運動プログラム実施を目指して

  〜運動プログラムパンフレットを作成して〜

腎センター
起立性低血圧のある患者への運動は、起立性低血圧改善への効果があると言われています。そこで、身体状況を明確にし、透析中に行える運動プログラムの構築と実施を目指しました。身体機能は、健常者に比べ低下しており、理学療法士の指導のもと短時間で透析中に行えるプログラムを作成し安全に実践できました。今後、起立性低血圧の予防に対して効果の検証を行なっていきたいと思います。
小児科外来において、子どもに採血の説明を行う事を躊躇する母親の想いを探る
小児科外来
検査・処置の前に子どもに説明を行い「心構え」を持ってもらうことが子どもの力を引き出し、不安の軽減につながると言われています。しかし、子どもにとって身近な存在である母親から説明を受けていない現状があります。その要因について調査した結果、母親が説明することに不安を感じていること、母親自身が検査の内容や必要性を十分理解していないことがわかりました。この結果をもとに、看護師は子どもにとって最適な方法で説明ができるような関わりをもつことが重要であると考えました。

院外発表

2014年度

学会名 発表日 テーマ
第65回
日本病院学会
6/18
6/19
鎮静剤を使用した内視鏡検査・治療後のせん妄による転倒転落に
関する要因の抽出
第17回
日本母性看護学会学術集会
6/28 妊娠前半期の妊婦の風疹感染に関する知識、
感染予防行動と不安の実態
第17回
固定チームナーシング
近畿地方会
7/11 固定チームナーシング活動による看護の質向上
〜年間活動報告会を通して〜
日本看護研修学会
第41回学術集会
8/22 高齢者の術後せん妄を予防するケアの有用性の検討
〜術後せん妄ケアチェックリストを使用しての介入方法〜
第41回
日本看護研究会
8/23 夜間のオムツ交換時における看護師のアセスメント要因の検討
第21回
日本摂食嚥下リハビリテーション
学会学術大会
9/11
9/12
大腿骨骨折にて入院中誤嚥性肺炎を発症し、
退院困難となった事例への介入
平成27年度
固定チームナーシンング
全国研究集会
10/3 母乳育児に関わるスタッフの意識と知識の向上
〜他部署との連携を深め、協力して母子を支えるために〜
外科病棟における個別性に合わせた転倒転落予防への取り組み
小児病棟におけるレスパイト入院受け入れの準備
経尿道的術後患者の食事に対するニーズの充実
〜安全に考慮した食事開始時間の検討〜
患者の個別性に合わせた口腔ケアの実施
〜OAG表を用いた口腔ケアラウンドを通して〜
化学療法を受ける悪性リンパ腫患者の看護を通して
〜治療日誌を用いた日常生活指導〜
肝動脈塞栓術を安心して受けるための取り組み
〜術後のイメージが出来るパンフレットを作成して〜
患者の安楽とADL向上に繋げる取り組み
〜TENA(高吸収オムツ)の特性を活かして〜
療養病棟における患者に沿った在宅復帰への支援
ICUにおけるCPOTを用いた痛みの評価
安全な環境を提供するための統一した手術室清掃
透析療法の理解を深め、継続した看護を目指して
〜病棟スタッフへの勉強会に行って〜
内服抗癌剤(TS-1)服用患者のQOLを維持した治療の継続
〜副作用の早期対応とセルフケア能力の向上〜
第3回
大阪府看護学会
12/5 小児における安静を必要とする検査の睡眠導入への援助
〜検査前入浴の有用性〜
第86回
大阪透析研究会
3/6 起立性低血圧患者に対する運動実施への取り組み
〜運動パンフレットの作成〜

 

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